株主、投資家の皆さまへ
年次で業績・事業進捗、
成長ビジョンなどをお伝えします。

YEARダイジェスト2020

ビジネスと強みについて

高度な専門性があってこそなしえるカスタマイズや使い勝手の良いインターネット証券取引システムの構築。
当社は、その開発、構築をワンストップで提供できる技術者集団です。

当社は、金融業界に特化した独立系のシステム開発会社で、オンライントレード、ディーリング、トレーディングに不可欠なフロントシステムを開発・提供しています。なかでも力を入れているのは、証券会社・FX会社向けのインターネット証券取引システムで、開発過程ではユーザビリティの向上を最優先に考えています。

オンライン取引が主流の今、初めて証券取引をする方、経験の浅い方が安心して利用できるかどうかがシステム開発の重要なテーマになっていますが、ユーザーの習熟度に応じて最適な道具やしくみを、プラグイン形式で提供できるのが当社のシステム。初心者向けのフライパンや包丁では物足りなくなったユーザーに、もっと効率良く素材の良さを引き出せる道具を提供してハイレベルなレシピづくりをお手伝いする、そんなイメージです。

最大の強みは、こうしたシステムの開発から保守・メンテナンス、法令の改正に伴う改修まで、すべてのサービスをワンストップで提供できることです。そのために私たちは、高度な金融知識を持つ技術者を採用・育成し、プロフェッショナル集団にふさわしい環境を整備しています。そこではお客さまのニーズを十分理解している技術者たちが最も効率的で低コストな設計・開発手法を追求しています。大手証券会社系列のベンダーとは正反対のスタンスかもしれませんが、お客さまとエンドユーザーのニーズに応えるための探究心と情熱は、どこにも負けないつもりです。

2020年12月期の取り組みと成果について教えてください。

コロナ禍においてテレワーク、交代制勤務で業務を遂行し
フロー型からストック型へのビジネスモデル改革が進展。
従来の枠組みにとらわれない新規ビジネスにも着手。

利用型・ストック型ビジネスモデル比率のUP ビジネスモデル転換

成長戦略に基づく重点施策をしっかりと遂行できた1年でした。なかでも大きく進捗したのは、ビジネスモデルの改革です。具体的に言えば、金融システムをその都度構築・リニューアルするフロービジネスから、クラウドで利用できるアプリケーションやサービスを提供して継続的に利益を得るストックビジネスへの転換ですね。多額の投資を伴う施策でしたが、2020年12月期はストックモデルの導入が既存顧客の3分の2に達しました。新規のお客さまにとっても初期投資を大幅に削減できるというメリットがありますので、2021年12月期はさらにストック比率を高められると考えています。

利用型・ストック型ビジネスモデル比率のUP ビジネスモデル転換

金融システムのビジネスモデル変換で培ったサーバー構築・運用のノウハウは、新規ビジネスとしてスタートしたECサイト事業で活用しています。私たちが提供しているのは何でも揃う大型のショッピングサイトではなく、例えば自動車の部品や住宅用の壁材など、オーナー様が本当に売りたいものだけを扱えるコンパクトなサイトであり、初心者にやさしく便利なしくみです。それを金融システムと同等のセキュリティ機能を搭載して構築できるのが当社の強み。これまでサーバーサイドの開発に長年集中して取り組み、新鮮な驚きや楽しさが薄れてきたエンジニアに、より進歩したクライアントサイドで仕事をする機会を提供できるようになったという意味でも、大きなメリットがあると思っています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、取引先との関係、職場環境とも深刻な打撃を受けたという認識はありません。テレワークと交替出勤制を本格的に導入したことで、以前と比較するとお客さまとの打ち合わせ、最終確認に時間を要していますが、それぞれのお客さまのコロナ対策を考慮しながら柔軟に対応しています。

来期の見通しと今後の戦略について教えてください。

2021年度の金融システム開発のテーマはグローバル化とCFD(差金決済取引)。
中期的には、当社のエンジニアが、開発への情熱と向上心を高め続けることのできる環境の整備を行っていきます。

2020年、当社の主軸である金融・証券業界の市場投資意欲はコロナ禍においても旺盛でしたが、当社は冷静に受け止めています。というのも、ITへの投資マインドは市場の賑わいからワンテンポ遅れて高まっていきます。 ですから2021年度については、新型コロナの影響で稟議が長期化した案件がスライドして動き出す分の増収・増益は見込めると考えています。さらに期待できるのは2022年12月期です。

主軸領域の深耕と新領域への進出 事業領域拡大 主軸領域の深耕と新領域への進出 事業領域拡大

金融システム開発のテーマとしては、グローバル化とCFD取引が挙げられます。いずれも既存のお客さまからのニーズで、グローバル化はアメリカを中心とする海外取引をより効率的におこなうためのシステムの導入意欲が高まっています。CFDについては、FX、ビットコインなどの取引ができるシステムを導入してトータル的に管理したいというお客さまが増えています。こうした専門性の強いニーズにしっかりと応えて収益力を高めていきたいと考えています。

中期的な目標は売上50億円達成です。経営戦略の軸は優秀な人材の採用と育成になるので、すべてのエンジニアが情熱と向上心を高め続けることのできるよう、より魅力的な環境の整備に取り組みます。この方針は外資系IT企業のエンジニアだった私自身の経験から導き出したもので、個性豊かなエンジニアの独創的なアイデアをいつでも前向きに検討し、実現できる環境があるからこそプロフェッショナルとして成長できると考えています。

「本当の楽しさ」の中で成長する。私は『これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず』という論語の一節が好きで、社員を激励する時に言って聞かせることがありますが、当社でキャリアアップをめざすエンジニアに真意を理解してもらえるように私自身も成長しなければと思っています。

ストック比率をさらに高まるため、開発案件としては当面、インターネット証券取引システムを軸とする金融システムに注力します。ただ、私自身もそうでしたが、向上心旺盛なエンジニアはより複雑で困難な案件にチャレンジしたくなるもの。ですから将来的には金融システムと親和性の高い受発注システムや流通システム、あるいはまったく異なる分野でもエンジニア力を発揮できる道筋をつくることで、当社の価値を高めていきます。

株主、投資家の皆様へのメッセージをお願いいたします。

目先の数字だけでなく、組織力を蓄えて
株主、投資家の皆様のご期待にお応えいたします。

領域、規模と同様に、すべてのエンジニアが自らの仕事に自信と誇りを持てる環境と仕組みを構築することによってお客さまとの信頼関係をより強固なものにして、利益を株主、投資家の皆様に還元する。それが私の使命だと考えています。
そのためには個々のエンジニアの長所を見きわめて育成し、チームワークを高める時間が必要です。それは一朝一夕に成せることではなく、株主、投資家の皆様には長い目で見ていただければと存じます。それでも当社は、目先の数字だけでなく、組織としての力を蓄えていくことが株主、投資家の皆様のご期待にお応えする最善の戦略だと確信しておりますので、引き続き温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

数字で見るトレードワークス

従業員数

2017年(上場時)

71

2021年

93

女性社員比率

2017年(上場時)

16.9 %

2020年12月末

21.5 %

売上

2017年12月期

1,385 百万円

2020年12月期

2,110 百万円